佐賀県唐津市は玄界灘に面した好漁場を持ち、水産業は唐津の経済と食文化を支える基幹産業のひとつです。唐津の産業全体を俯瞰した唐津の産業ガイドでも触れた通り、呼子のイカに代表される水産業は唐津を象徴する存在ですが、この記事では唐津港・呼子港の役割、養殖業の取り組み、水産業活性化支援センターの研究など、水産業そのものをより詳しく掘り下げます。
唐津の水産業を支える漁場と主要漁港――唐津港・呼子港
唐津市は対馬・五島西沖という日本有数の好漁場に隣接する九州北部に位置し、玄界灘に面した唐津港・呼子港をはじめ複数の漁港を擁しています。佐賀県唐津港利用促進協議会は、官民一体で唐津港の利用促進を図ることを目的に平成13年(2001年)5月に設立され、水産部会を含む専門部会を通じて水産物・水産加工品の取扱量増加に向けた事業を行っています。呼子港では佐賀玄海漁業協同組合を中心に、主力魚種であるケンサキイカを軸とした海業の取り組みも進められています。
呼子のイカ――ケンサキイカのブランドと朝市文化
「呼子のイカ」として知られるブランドの実体は、主にケンサキイカです。旧呼子町エリアは古くからイカ漁が盛んな地域で、毎朝開かれる「呼子朝市」は日本三大朝市のひとつに数えられています(詳しくは唐津の産業ガイドでも紹介しています)。ケンサキイカは水槽での畜養が難しく、時期によって活き造りの提供が不安定になりやすいという課題があり、唐津市水産業活性化支援センターでは安定供給に向けた繁殖研究が進められています。
唐津魚市場――高度衛生管理型市場としての役割
唐津の水産物流通の拠点となっているのが、昭和32年(1957年)設立の唐津魚市場です。生産地市場として鮮魚介類・塩干魚・冷凍魚・海藻類・水産加工品などを取り扱い、佐賀県の生鮮食料品流通を支えています。2017年2月には県営水産上屋の改修工事が完成し、延床面積8,342平方メートルの「唐津港まき網市場」として供用が開始されました。魚の高付加価値化に向けた高度衛生管理施設の整備により、食の安全確保体制が強化されています。
養殖業の挑戦――完全養殖マサバ「唐津Qサバ」
唐津市と九州大学の共同研究から生まれた完全養殖マサバが「唐津Qサバ」です。平成26年(2014年)から販売が始まり、市内の旅館・飲食店のほか、福岡や東京の飲食店でも提供されるようになりました。完全養殖と厳密な飼料管理によって寄生虫アニサキスのリスクが低減されているとされ、刺身での提供が可能な点が特徴です。なお、自然環境の影響で出荷状況が変動することもあるため、最新の提供状況は唐津市公式サイトや取扱店で確認することをおすすめします。
水産業活性化支援センター――九州大学との共同研究
唐津市相賀に設置された唐津市水産業活性化支援センターは、平成24年度(2012年度)から九州大学と共同で「新水産資源創出研究プロジェクト」に取り組んでいます。マサバの完全養殖技術の開発に加え、ケンサキイカの性成熟メカニズムの解明や安定供給に向けた先端的研究、次世代のバイオ水産技術の開発などが進められており、唐津の水産業の将来を支える研究拠点となっています。
CAS凍結技術による鮮度保持と全国出荷
呼子CASセンター(佐賀玄海漁業協同組合)では、CAS(Cells Alive System)と呼ばれる凍結技術を導入し、呼子の活きイカなどの水産物を鮮度を保ったまま全国へ届ける体制を整えています。CAS凍結は食品全体を同時に凍結することで細胞組織の損傷を抑え、解凍後も鮮度の高い状態を再現できる技術で、一般的な冷凍と比べて長期保存が可能とされています。これにより、呼子を訪れなくても活き造りに近い味わいを楽しめる商品が全国に流通しています。
唐津の水産業を知って楽しむ・働くには
唐津の水産業は、漁場・漁港というインフラ、ケンサキイカという地域ブランド、養殖・研究という新しい挑戦、CAS凍結という流通技術が組み合わさって成り立っています。唐津の産業全体の中での水産業の位置づけを確認したい方は唐津の産業ガイドを、水産業に関わる仕事を探したい方は唐津の仕事探しガイドをあわせてご覧ください。
Q1. 唐津の水産業を代表するブランドは何ですか?
A: 「呼子のイカ」として知られるケンサキイカが代表的なブランドで、呼子朝市とともに唐津の水産業を象徴しています。
Q2. 唐津港や呼子港ではどのような取り組みが行われていますか?
A: 佐賀県唐津港利用促進協議会による利用促進事業や、呼子港での海業振興の取り組みなどが進められています。
Q3. 唐津Qサバとはどのような魚ですか?
A: 唐津市と九州大学の共同研究で生まれた完全養殖マサバで、寄生虫アニサキスのリスクが低いとされ刺身でも提供されています。
Q4. 唐津の水産物はどのようにして鮮度を保って全国に届けられていますか?
A: 呼子CASセンターのCAS凍結技術により、活きイカなどの鮮度を保ったまま長期保存・全国出荷が可能になっています。





